山本裕子著 『フォークナーの晩年様式(レイト・スタイル)――その展開と変容』 松籟社、 2023. 12. 25. 四六判240頁、3,000円、ISBN978-4-87984-448-4

概要

フォークナーに〈レイト・スタイル〉はあるのか? あるとしたら、それはいかなるものか。フォークナーの後期作品に見られる、老いのペルソナと自伝的様式を考察し、その〈レイト・スタイル〉の内実に迫る。

目次

序 章 レイト・フォークナー

後期作品研究

自伝的様式

晩年性

本書の構成

第I部 リ・メモリー《追憶》

第一章 老境のフォークナー 酒と女と馬と

スタイルの変容

老いの意識

アイデンティティの不安

第二章 老いの繰り言 「ミシシッピ」にみるメモワール形式

メモワール構想

「伝記の体裁」

二重のプロットと記憶の改変

二重の視点とメモワール形式

フォークナーの自己語り

第II部 リ・ヴィジョン《再現=修正》

第三章 愛の技法ふたたび 『操り人形』から『尼僧への鎮魂歌』へ

戯曲形式

初期様式と初恋

『操り人形』の作劇術

後期様式と老いらくの恋

『尼僧への鎮魂歌』の小説技法

戯曲形式から後期様式へ

第四章 南部再訪 エヴァンズとフォークナーの後期様式

コモン・グラウンド

「フォークナーのミシシッピ」

「南部の葬送」

遅れてきた世代の後期様式

第五章 失われた世代の神話と寓話 『兵士の報酬』と『寓話』

二八年の時を隔てて

失われた世代の作家

素顔の作家

『兵士の報酬』

ノーベル賞作家

『寓話』

前期と後期のスタイル

第III部 レトロ・スペクタクル《幻視》

第六章 夢のあとさき スノープス三部作とアメリカの夢

夢の行方

三部作の起源とアメリカの夢

夢の起源と語りの行方

語りの操作とフレムの夢

スノープス・ジレンマ

見果てぬ夢

第七章 老いの幻影 『自動車泥棒』における作者のペルソナ

老境のメモワール

二人の年長者

二重の語り

二重のプロット

老いの仮面

終 章 死に向かって「否」と告ぐ フォークナーの晩年様式

テレビ番組『オムニバス』

モダニズムの晩年

作家の生

引用文献

初出一覧

あとがき

索引

https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784879844484