『終わりの風景――英語圏文学における終末表象』

春風社

辻和彦・平塚博子・岸野英美編

ISBN: 978-4861108235

仮に何かが始まる、あるいは何かを新しく私たちが始めるとしても、その起点は「終わりの風景」からになるのではないか――

英語圏文学作品において描かれる環境問題、自然災害、社会変動などのさまざまな終末表象に着目し、ものごとの「終わり」を新たな可能性として捉え、読み解く10の論考。

目次

序章 リタ・ウォン作品にみる水の詩学――「借用された水」、「水の旅からの急報」、「グレゴワール湖のために」【岸野英美】

第1章 終末世界を救済するための小説のデザイン――カズオ・イシグロの内的持続の文学と『クララとお日さま』【田中ちはる】

第2章 コロナ禍の時代を生きる命と想像力――アリ・スミス『夏』における「終わりの風景」と希望の可能性【霜鳥慶邦】

第3章 家族の終わりとナクサライト――ジュンパ・ラヒリ『低地』とアルンダティ・ロイ『小さきものたちの神』をとおしてみる二つの「応答責任」【加瀬佳代子】

第4章 アジア系アメリカ文学における〈天災〉と〈人災〉――ヒサエ・ヤマモトとルース・オゼキの作品を中心に【松本ユキ】

第5章 「終わり」の見えない不安――イアン・マキューアンの『土曜日』試論【高橋路子】

第6章 ゾラ・ニール・ハーストンの『彼らの目は神を見ていた』における災害とレジリエンス【平塚博子】

第7章 荒野の王が見た風景――シェイクスピア悲劇『リア王』における飢饉、大嵐、疫病【高橋実紗子】

第8章 〈終わりの風景〉の向こう側――インドラ・シンハの『アニマルズ・ピープル』とボパール、水俣、太平洋核実験【小杉世】

終章 災害と感染症時代の恐怖――エドガー・アラン・ポー作品を辿る【辻󠄀和彦】

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