吉野成美著『ヒロインの妊娠 ― イーディス・ウォートンとセオドア・ドライサーの小説における「娘」像とその選択』音羽書房鶴見書店、2017. 5 本体価格2800円

【内容紹介】
本書は、20世紀初頭の同時代に活躍しながら、アメリカ文学史上全く異なる流れに属するとされてきたイーディス・ウォートンとセオドア・ドライサー二人の小説家に関して、それぞれの作品内で描かれるヒロインが直面する妊娠とその影響に焦点をあて、ヒロインの経験する生物学的な身体変化が、男性/女性、個人/社会、自然/文化といった二項対立の狭間にある矛盾点を浮き彫りにする、作品内でも重要なプロットの一つであることを論じている。

【目次】
序章
1.イーディス・ウォートンとセオドア・ドライサー
2.娘から母へ ―「妊娠」という分岐点

第一章 母になった娘 ―『無垢の時代』が描く母系社会
1.空白のページ
2.母系社会
3.メイの妊娠

第二章 父を求める娘 ―『国の風習』におけるアンディーンの結婚戦略解説
1.父親代理を求めて
2.『アンディーン』と『国の風習』

第三章 母の埋葬、父との結婚 ―『夏』のヒロイン、チャリティ・ロイヤルの決断
1.パパ・ロイヤル
2.チャリティの妊娠

第四章 天使の娼婦の二面性 ― ドライサーの『ジェニー・ゲアハート』
1.性と家族
2.「境界侵犯者」としてのジェニー
3.家族の形成と崩壊

第五章 母になれない娘 ―『アメリカの悲劇』におけるもう一つの悲劇
1.生家からの離脱
2.ロバータの中絶
3.父と夫とその間

終章

 
 HONYA Clubへのリンクはこちら