成田雅彦・西谷拓哉・髙尾直知(編著)『ホーソーンの文学的遺産――ロマンスと歴史の変貌』 開文社出版,2016.5.30, A5判 xiv+462頁, ¥4,800

概要
ナサニエル・ホーソーン没後150年を記念して、ホーソーンと英米作家たちの共鳴・交感を明らかにする。ホーソーン、メルヴィル、ポー、エマソン、ソロー、ストウ、オルコット、ジェイムズ、バーネット、ハーディ、フォークナー、オコナー、モリソン、オースター・・・。19名の論者が、かれらをつなぐロマンスの文学的遺産をあぶり出す。

目次
まえがき

Ⅰ ホーソーンと十九世紀の作家たち

ホーソーンとロマンスの遺産――「若いグッドマン・ブラウン」に見る現実(リアル)の風景(成田雅彦)
《モラル・ヒストリアン》ホーソーン――精神的歴史のロマンス的語りかた(髙尾直知)
メルヴィル「林檎材のテーブル」における家庭小説の実験――ジャンルとの親和と軋轢(西谷拓哉)
トマス・ハーディによる『緋文字』変奏曲(吉田朱美)
“アメリカの小説”への挑戦――ヘンリー・ジェイムズ『象牙の塔』の終わりなき連関(竹井智子)

Ⅱ ホーソーンと二十世紀以降の作家たち

ホーソーンとフォークナーの「イタリア」――『大理石の牧神』と『響きと怒り』における南北戦争の影(藤村 希)
語り直される「痣」の物語――ホーソーンからオーウェル、モリソン、ジュライヘ(辻 祥子)
ホーソーン・ロマンスの継承――南部作家フラナリー・オコーナーによる受容(内田 裕)
アダプテーションとしてのA――『緋文字』受容の変遷(城戸光世)
アメリカン・ルネサンス的主人公の不滅――ファンショー、デュパン、オースター(伊藤詔子)

Ⅲ ホーソーンと子どもたち

パールと子ども像の変遷――失われた環を求めて(生田和也)
ロマンスの磁場、奇跡、子ども――「雪人形」と『秘密の花園』の生命の庭(高橋利明)
ローズ・ホーソーン・ラスロップ――父の面影を求めて(稲冨百合子)
死者は語る――ジュリアン・ホーソーンの「エドガー・アラン・ポーとの冒険」と「エセリンド・フィングアーラの墓」を読む(池末陽子)

Ⅳ ホーソーンと歴史・人種・環境

「いつわりのアルカディア」――ホーソーンの自然観を再考する(野崎直之)
ホーソーンの鉄道表象――「天国行き鉄道」を巡るピューリタン的/アフロ・アメリカン的想像力(中村善雄)
ゴムの良心とリアリズム――政治家ホーソーンがイギリスで見たもの(進藤鈴子)
ホーソーンの戦争批判――晩年の作品を中心に(大野美砂)
「頭を突き出した蛇のような疑念」――『セプティミアス・フェルトン』における歴史と情動(古屋耕平)

ウェークフィールド的文学史の試み――あとがきに代えて(髙尾直知)

索引
執筆者一覧

 

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