ヘンリー・ジェイムズ、いま : 歿後百年記念論集
里見繁美・中村善雄・難波江仁美編著
英宝社 2016 411頁

ヘンリー・ジェイムズ(1843−1916)没後100年記念して編まれたジェイムズ研究者20名の論文集。越境するまなざしが巨匠を読み解く。巻末には1945年以降のジェイムズ書誌情報を掲載。

目次

はじめに

ジェイムズ学事始(行方昭夫)

第一部 人生と芸術

実人生とフィクション――彫刻家トーマス・クロフォードと『ロデリック・ハドスン』(北原妙子)

復讐を描く/画く――ジェイムズの小説と絵画の芸術的表現(中井誠一)

ジェイムズの劇作への挑戦と挫折をめぐって――『ガイ・ドンヴィル』を中心に(名本達也)

ジェイムズ家のイギリス批判――『アリス・ジェイムズの日記』をめぐって(中川優子)

源流から河口まで――ジェイムズ家探訪(水野尚之)

第二部 揺れる主体

ジェイムズの手記と幽霊――境界上の語りの戦略(齋藤園子)

見間違いの喜劇――『聖なる泉』の間主観的世界(松井一馬)

「今はもう向こう側」――「密林の獣」におけるセクシュアリティの境界(畑江里美)

分身というモンスター――「なつかしの街角」における自己イメージの問題(砂川典子)

ジェイムズのホームカミング――expatriate から “dispatriate” へ(石塚則子)

第三部 変わりゆく意識

『ポイントンの蒐集品』における「もの」とひとの関係(町田みどり)

ストレザーの「新しい倫理」――アメリカ、グローバリゼーション、正義(松浦恵美)

欲望の構図――『鳩の翼』に見る資本主義的対立(堤千佳子)

新しい家庭構築の試み――アメリカン・ヒロインとしてのマギー(志水智子)

耳をすます子ども――『メイジーの知ったこと』に聴くモダンの風景(難波江仁美)

第四部 非時空間の世界

ジェイムズの眼差しの戦略と差延化する/されるアイデンティティ(中村善雄)

アメリカ民主主義の功罪――『アメリカの風景』の訴え(里見繁美)

越境の先――二つの未完作品に見えるもの(海老根静江)

見えない越境――ヘンリー・ジェイムズと日本を結ぶ点と線(福田敬子)

ヘンリー・ジェイムズ、「空間/時間の移動」、「リタラリー・ナショナリティ」(別府惠子)

あとがき

日本におけるヘンリー・ジェイムズ書誌

索引
執筆者紹介

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