山下昇著 『響き合うアメリカ文学―-テクスト、コンテクスト、コンテクストの共有』松籟社 2024年2月28日発行 四六版296頁 ISBN978-4-87984-450-7C0098 \2800円+税

19世紀の作家ホーソーンから、フォークナー、モリスン、現代のアジア系作家まで、幅広くアメリカ文学を論じる本書は、コンテクストとインターテクストという視点から、作品の特徴や相互影響関係を検討する。テクスト同士の、またテクストとコンテクストの交響を聞き取りながら、響き合う読みの創出へと誘う論考群。

目次
第一部 テクストとコンテクスト

第一章 アプトン・シンクレア
歴史のなかの『ジャングル』–描かれたもの、こぼれ落ちたもの、読まれ方の問題
第二章 トマス・ウルフ
インフルエンザ・パンデミックと戦争とトマス・ウルフ的想像力――『天使よ、故郷を見よ』
第三章 シンクレア・ルイス
アメリカン・ディストピア文学としての『それはここでは起こり得ない』
第四章 ウィリアム・フォークナー
『スノープス』三部作の意味と意義
第五章 ラルフ・エリスン
『見えない人間』の技法と主題とテクスト

第二部 コンテクストの共有

第六章 ホーソーンの継承者としてのフォークナー
『七破風の屋敷』と『行け、モーセ』における人種とジェンダー表象
第七章 ストウの『アンクル・トムの小屋』を書き直すトニ・モリスン―『ビラヴド』再考
第八章 二人のマーガレットの南北戦争小説
ミッチェルの『風と共に去りぬ』とウォーカーの『ジュビリー』
第九章 「ノーノー・ボーイズ」
ウィリアム・フォークナー、ジョン・オカダ、エドワード・ミヤカワ
第一〇章 戦争、軍隊、性暴力とジェンダー
ノラ・オッジャ・ケラー『フォックス・ガール』とチャンネ・リー『降伏した者』
終章 フォークナーと三人の日本作家  芥川龍之介、太宰治、村上春樹