西谷拓哉・髙尾直知・城戸光世編著 『ロマンスの倫理と語り――いまホーソーンを読む理由』 開文社出版、2023. 5. 18、A5判xvi+461頁、4,800円

【概要】
日本ナサニエル・ホーソーン協会創立40周年を記念して編まれた論文集。なぜホーソーンは読まれ続けるのか、いまなお我々がホーソーンを読み続けている理由は何なのか。その考察を通して、ホーソーン文学の現代性をあらためて考察する。

【目次】
まえがき

第一部 ロマンスの倫理
城戸光世 〈エシカル・ルネサンス〉期のホーソーン文学
佐々木英哲 「若いグッドマン・ブラウン」──黙示録的終末世界に見るエディプス問題と疎外
下河辺美知子 『総督官邸に伝わる物語』にはめ込まれた場所と時間と人間の心──アメリカ的恐怖の重層性
林 姿穂 ホーソーンからハーンに受け継がれる自然観と女性像──「ラパチーニの娘」と「青柳の話」を中心に
成田雅彦 ホーソーンの「痣」再考──チェロキー族の強制移送と白人至上主義の論理
小南 悠 病いをぼかす──『緋文字』における天然痘の政治学
野崎直之 存在のエコロジー──ホーソーンの『緋文字』における共感、身体、依存
中西佳世子 ドメスティック・イデオロギーを解体するホーソーンの炉辺──『七破風の屋敷』の暖炉とコーヒー
大野美沙 『七破風の屋敷』における中産階級家族の形成と労働者/奴隷の表象
齊藤園子 ブライズデール共同体をめぐるポリアモリーとホモソーシャルな絆

第二部 倫理と語りの中間地帯――「埋葬」をめぐるロマンス
小宮山真美子 「丁寧な埋葬」をめぐるロマンス──ホーソーンの作品における死者と生者の土地/物語空間
生田和也 ロジャー・マルヴィンの埋葬者──オークの表象を再考する
髙橋 愛 呪いとしての祝福──「ロジャー・マルヴィンの埋葬」における父子関係の再考

第三部 ロマンスの語り
上原正博 ホーソーン的ロマンスの雰囲気について──序文再読
大川 淳 皮膚、テクスト、鏡──「痣」におけるエールマーの罪のしるし
竹井智子 「花崗岩のような群衆」──「天国行き鉄道」の語りと移動
川下 剛 視線と仕草──『ブライズデール・ロマンス』における劇場の隠喩
石川志野 死者を見つめるホーソーン──エクフラシスとヴァニタス
辻 祥子 ホーソーンの失われた「上昇する螺旋」──二十一世紀に読む巡礼の旅の物語
髙尾直知 「たとえ実際に起こらなかったとしても、起こるべきだった」ことを書く──『アフリカ巡航者の日誌』におけるホーソーンの編集
丹羽隆昭 ホーソーン最後の日々
貞廣真紀 ジュリアン・ホーソーンと父の親密圏――文学史と市場のはざまで

あとがき
索引
執筆者紹介