新刊紹介:野間正二著『戦争PTSDとアメリカ文学 ――南北戦争からベトナム戦争までを読む』

タイトル: 『戦争PTSDとアメリカ文学 ――南北戦争からベトナム戦争までを読む』
出版社: 文理閣 383頁 1900円+税
著者: 野間正二
刊行日: 2023年5月30日
ISBN: 978—4—89259—931—6

意図と主旨: 2022年2月24日、大国ロシアがウクライナへの侵略戦争を始めた。この侵略を目の当たりにすると、戦争被害が死者や負傷者だけに終わらないことも、世間の人びとにも、とくに若い人には、ぜひとも知ってほしいという願望がつよく生じてきました。戦争で心が傷ついて、その後の人生を大きく狂わせる元兵士や一般人が数多く生まれることも知ってほしい、という気持ちが生まれてきたのです。
「(戦争を)生きのびたが、それはハッピーエンドではない」という、残酷な事実があることを、多くの人に知ってもらいたいのです。このことは、すぐれ感受性をもつ作家を除けば、これまであまり注目されることがありませんでした。だが、それでもやはり、わたしたち一人ひとりが知っておくべき重要なことだと考えています。そこで、南北戦争からベトナム戦争までの戦争を描いた7人の作家によるすぐれた13の作品を精読することで、具体的に検討しました。
その意味では、この本を完成させた原動力は、侵略戦争を始めたロシアと、戦争そのものとを憎み反対する気持ちでした。

目次:
はじめに
序 戦争PTSD
PTSD
PTSDの診断基準
PTSDとシェイクスピア

第一部 南北戦争
南北戦争
アンブローズ・ビアス
短編「チカモーガ」
短編「コールターの峡谷での出来事」
短編「レサカで死ぬ」
スティーブン・クレイン
長編『赤い武功章』
注・引用文献一覧

第二部 第一次世界大戦
第一次世界大戦と米国
戦争による神経症(シェルショック)
ユージン・オニール
戯曲『シェルショック』
シェルショックの実情
ヘイデン大佐の告白
ヤング少佐の自殺未遂
F・スコット・フィッツジェラルド
中編「メイ・デー」
長編『グレート・ギャツビー』
アーネスト・ヘミングウェイ
短編「兵士の家」
長編『日はまた昇る』
注・引用文献一覧

第三部 第二次世界大戦
第二次世界大戦と米国
J・D・サリンジャー
短編「バナナフィッシュに最適の日」
短編「エズメに――愛と汚れをこめて」
長編『ライ麦畑でつかまえて』
コヒーブレイク
大岡昇平の『野火』
注・引用文献一覧

第四部 ベトナム戦争
ベトナム戦争と米国
ティム・オブライエン
長編『失踪』
注・引用文献一覧

おわりに
索引

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