【編著者】塚田幸光
【書名】『メディアと帝国 19世紀末アメリカ文化学』
【出版社】小鳥遊書房
【発行日】2021年12月25日
【価格】3,700円+税
【ページ数】366頁
【ISBN】978-4-909812-77-3
【ホームページ】http://tkns-shobou.co.jp(小鳥遊書房)
【紹介文】
19世紀末、それは映像と戦争の世紀への序章であり、「帝国アメリカ」が目覚める瞬間に他ならない。「帝国」とは、中心も境界もない権力形態の別名であり、増殖する網状の欲望に他ならない。だが、今日、アメリカを表象する「メディア」こそが、網状のネットワークを全開する新世代の帝国ではないのか。本書は13の視座から、無限に広がるメディア・ネットワークの起点を見つめ、19世紀末アメリカの文化学とその批評的可能性を再考する。
【目次】
序 メディアと帝国(塚田幸光)
【第Ⅰ部】アメリカ帝国の明暗法
第1章 19世紀転換期アメリカの万博とオリエンタル・ダンス(宗形賢二)
第2章 ボディビル世紀末―ユージン・サンドウと帝国の「身体」(塚田幸光)
第3章 エドウィン・S・ポーターの世紀転換期アメリカ―初期映画と文化ナショナリズムの黎明(中垣恒太郎)
第4章 帝国崩壊のヴィジョン―『死霊のえじき』と〈スペイン的なもの〉(小原文衛)
【第Ⅱ部】ユートピア/ディストピア世紀末
第5章 世紀転換期アメリカにおける支配の欲望―オズ、サンタクロース、ユートピア(中山悟視)
第6章 イグナティウス・ドネリーと世紀転換期アメリカの終末論的欲望―ディストピア、ポピュリズム、ハルマゲドン(細谷等)
【第Ⅲ部】多層のアメリカ―絵画、写真、文学
第7章 アメリカン・アートの誕生―移民サダキチ・ハートマンと愛国的芸術論(小笠原亜衣)
第8章 西部表象と帝国主義のポリティクス―19世紀末メディア論に向けて(小谷一明)
第9章 燃え上がる枠組、消尽する描写―スティーブン・クレインにおける写真的無意識、近接性、死(髙村峰生)
第10章 逃亡の果ての帝国―エドガー・アラン・ポーの中編小説「ハンス・プファアルの無類の冒険」を再読する(池末陽子)
【第Ⅳ部】帝国のアーキテクチャ
第11章 文化ナショナリズムがかたちを整える時―世紀転換期のアイヴズからハイブラウ表象を追う(村上東)
第12章 セオドア・ローズヴェルトとマーク・トウェインのアメリカの原理をめぐる闘争―19世紀末アメリカ帝国主義、クロスメディア・バトル、カウンターとしての文学的想像力(河田英介)
第13章 英国ショップ・オーナーの「居場所」、あるいはグローバル・シティズンシップという夢―消費の帝国アメリカの勃興?(大田信良)