西山けい子著『エドガー・アラン・ポー ―― 極限の体験、リアルとの出会い』
新曜社、2020年3月10日刊
四六判、328ページ
価格:3200円+税
ISBN: 978-4-7885-1669-4

断崖絶壁の縁に立ち、恐怖に足をすくませながらも下を覗かずにはいられない。可愛がっていた猫なのに、なぜか虐めて殺してしまう――ポーの作品は、自分でも制御できない衝動に駆られる人間の精神と欲望の不思議を鮮烈に描く。意識と無意識、理性と狂気、生物と無機物、生と死の境界線を超え、時間と空間の極限に到達しようとするポー作品の核心に迫り、その魅力を解明する。

*目次*
はじめに

第Ⅰ部 自己と分身
第1章 分身と死――「ウィリアム・ウィルソン」と「群集の人」
第2章 都市の欲望――「群集の人」と探偵小説の誕生

第Ⅱ部 破滅へと誘う力
第3章 黒猫の棲む領界
第4章 生を破壊する力――「告げ口心臓」における不安のありか
第5章 フィードラーの〈暗黒の力〉再考――ポーと悪の問題

第Ⅲ部 生のなかの死、死のなかの生
第6章 妖精のカヌー、地の精の城――ポーの幻想の風景
第7章 ポーにおける〈生きられる時間〉
第8章 死なない身体の喜劇――ポーにおける笑いと無気味なもの

第Ⅳ部 宇宙へ向かう想像力
第9章 『ユリイカ』における限界の思考――科学の言説と詩の言語
第10章 空飛ぶ時代の墜落の夢想――「ハンス・プファールの無類の冒険」

第Ⅴ部 無気味と死をめぐる文化表象
第11章 ポーと映画
第12章 疫病のナラティヴ――ポー、ホーソーン、メルヴィル

あとがき

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