里内克巳著『多文化アメリカの萌芽ーー19~20世紀転換期文学における人種・性・階級』彩流社、2017.6. 本体価格4800円
【内容紹介】
19世紀末~20世紀初頭の世紀転換期のアメリカ。文学史では、「リアリズム」と「自然主義」という二つの潮流で特徴づけられる時代だが、南北戦争の混乱を経て、社会が急激な変化を遂げるなか、アフリカ系、先住民系、移民出身の作家等、多彩なバックグラウンドをもった書き手たちが次々と現われていた。
11名の書き手による代表的なテクストを、人種・エスニシティ、階級、ジェンダーといった多層的な観点から分析、世紀転換期アメリカの多文化的様相を立体的に検討し、20世紀後半の多文化主義文学の萌芽をみる。
【目次】
第Ⅰ部 他者を捉える──都市と農村のルポルタージュ
第1章 写真と言葉で描かれた都市──ジェイコブ・A・リース『向こう側にいる人々の暮らし』
第2章 豊かさの向こう側──スティーヴン・クレイン『街の女マギー』
第3章 〈車窓の社会学者〉に抗して──W. E. B. デュボイス『黒人のたましい』①
第Ⅱ部 自己を表わす──マイノリティ文学の私語り
第4章 死の影の谷を抜けて──W. E. B. デュボイス『黒人のたましい』②
第5章 赤い鳥のビーズ細工──ジトカラ=シャ『アメリカ・インディアンの物語』
第6章 奇跡の人の文学──ヘレン・ケラー『私の人生の物語』
第Ⅲ部 物語る──エスニック・ロマンスの主張
第7章 歴史のトラウマを書く──アリス・キャラハン『ワイネマ──森の子供』
第8章 融けきらない移民たち──エイブラハム・カーハン『イェクル』
第9章 トランスパシフィックの物語学──スイシンファー「スプリング・フラグランス夫人」その他の短編
第Ⅳ部 過去を振り返る──世紀転換期の小説と奴隷制
第10章 〈人種〉のメロドラマ──フランシス・E・W・ハーパー『アイオラ・リロイ』
第11章 〈人種〉から〈人類〉へ──チャールズ・W・チェスナット『杉に隠れた家』
第12章 アメリカの始まりに目を凝らして──マーク・トウェイン『それはどっちだったか』、「インディアンタウン」
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