藤江啓子著 『資本主義から環境主義へ――アメリカ文学を中心として』英宝社 2016.8.四六版、vi+218頁、2200円
概要
今日、アメリカのグローバルな資本が世界を覆っているが、現代のグローバリゼーションを先取りする諸問題は、建国期から十九世紀にかけてのアメリカにおいて既に顕在化していた。このような観点から本書は、近代資本主義が環境破壊への道となり、環境主義へ移行していく軌跡を、主としてアメリカの作家たち――「ネイチャーライター」と呼ばれる作家のみならず、一般にはそのように考えられていない作家も含め――の作品の中に見ていく。
目次
第1章 アメリカの環境文学と環境主義・環境保護運動
第2章 資本主義・キリスト教・エコロジー ――ミルトンと楽園回復ナラティヴ――
第3章 多民族国家アメリカのグローバリゼーションと環境 ――クレヴクール、エマ・ラザルス、ホイットマン――
第4章 ホイットマンと都市のエコロジー ――マナハッタというユートピア――
第5章 レベッカ・ハーディング・デイヴィスの「製鉄工場の生活」における移民工場労働者の環境
第6章 メルヴィルの「乙女たちの地獄」における女性工場労働者の環境
第7章 メルヴィルの「ピアザ」に見るアメリカの風景 ――グレイロック山と女性――
第8章 ケープコッド文学に見るソローのフィンチへの影響 ――『ケープコッド』と『大切な場所』を中心として――
第9章 ロマンティックな海からグローバルな共有地としての海へ ――ロングフェロー、メルヴィル、イアン・ウェッド――
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