松本靖彦・西山けい子(編著)『響きあうポーとディケンズ』
春風社、2025年5月25日発行、四六版244頁、3,600円+税
ISBN 978486816033
http://www.shumpu.com/portfolio/1077/

【概要】
1836年以来、立て続けにディケンズ作品の書評を発表したポーは、アメリカで最初にディケンズの真価を認めた文人とされる。1841年にディケンズが『バーナビー・ラッジ』の連載を開始したとき、ポーはその第1章を読んだだけで早くも事件の謎を見破った。1842年、ディケンズの初渡米の折に、ふたりはフィラデルフィアで面会を果たす。直接的な交流はごく限られたものではあったが、ポーとディケンズの文学は主題や技法において随所で共振し、興味深い反響をみせる。ポーとディケンズという組み合わせから見えてくる文学的・社会的水脈を多角的に追究し、両者の接点と独自の特徴を浮かび上がらせることを試みた、6名の執筆者による共同研究。

【目次】
まえがき(松本靖彦)
第1章 鴉、鴉、鴉――ポーとディケンズ、濡れ羽色の縁(松本靖彦)
第2章 謎解きは書評のあとで――ディケンズとポーの「謎を解く」(渡部智也)
第3章 アメリカ社会と大衆へのまなざし――ポーとディケンズの批評・風刺 (福島祥一郎)
第4章 短編小説の技法――ポーがディケンズから学んだこと(西山けい子)
第5章 ポーとディケンズの夜歩き――「群集の人」と「夜の散策」(松本靖彦)
第6章 狂人の革命を描く――ポーとディケンズの作品におけるフランス革命(岡本晃幸)
第7章 ディケンズとポーの描く幽霊、怪奇―― 19世紀科学への関心(橋野朋子)
第8章 死体とユーモア――ポーとディケンズにおける無気味と笑いの交差(西山けい子)
あとがき(松本靖彦・西山けい子)
初出一覧
年表
事項索引、人名・作品名索引