花岡秀(監修)藤平育子・中良子(編著)『フォークナー文学の水脈』

彩流社, 2018.9.25,四六判, 374頁,¥3,800+税

概要
アメリカ南部を超えて世界に飛翔するフォークナー文学――現実に勝るとも劣らぬ重さを具え、得体の知れぬ世界を読者に突き付け、しかも、そこに足を踏み入れた者を捉えて離さない不思議な力を秘めているフォークナー文学を光源として世界の文学を読み解く。これからのフォークナー研究の地平を拓く論集。

目次
序章 「水脈」を辿り、「水質」を尋ねて               (花岡 秀)

第一部 南部の大地を貫いて

第一章 メルヴィルからフォークナーへ
――「熊」のオールド・ベンに『白鯨』のエイハブの姿を見る      (千葉淳平)
第二章 優しさはなぜ拒否されなければならないのか
――『ハックルベリー・フィンの冒険』の逃亡の理由探しとしての『八月の光』
                                  (上西哲雄)
第三章 豊穣なる現実――トゥーマー、フォークナー、肉体の南部史   (新田啓子)
第四章 ウェルティ、ウルフ、フォークナー
――『黄金の林檎』における土地の感覚                (中 良子)
第五章 フォークナーとシルコウの文学的共振のダイナミズム
――『土にまみれた旗』と『儀式』の戦争帰還兵のモチーフを超えて   (田中久男)
第二部 南部からアメリカ表象に向かって

第六章 ネイティヴ・アメリカン表象におけるアクチュアルとアポクリファル
――ヘミングウェイとフォークナー                  (松岡信哉)
第七章 アメリカ南部の〈国境〉のゆらぎ
――『サンクチュアリ』とコーマック・マッカシーの『老人の住む国にあらず』
                                  (大地真介)
第八章 石炭とダイアモンド――「リッツくらい大きなダイアモンド」論 (坂根隆広)
第九章 性の目覚めと抒情――コールドウェルの短篇にみる女性像    (舌津智之)
第十章 ステレオタイプを踏み抜いて
――ノワール小説としての『アメリカの息子』             (諏訪部浩一)

第三部 南部を超えて流れゆく

第十一章 混血の使途――『八月の光』と『墓碑銘』          (後藤和彦)
第十二章 「もし、あたしに魂があるとしたら」
――アルベール・カミュの『尼僧への鎮魂歌』             (藤平育子)
第十三章 思考の水脈――抽象と抽象表現とフォークナー        (千石英世)

終章 フォークナー的水脈とはなにか                 (平石貴樹)

あとがき

索引
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